お知らせ
コレクション展「鴎外の『意地』のはなし」展示会場から その1
開催中の展覧会から、展示資料を紹介します。
鴎外著『意地』籾山書店 大正2年
鴎外著、斎藤茂吉解説『阿部一族 他二篇』岩波文庫 昭和13年
鴎外初めての歴史小説集です。鴎外とも親交があった陸軍大将・乃木希典の死をきっかけに執筆した『興津弥五右衛門の遺書』(大正元年10月発表)、そして『阿部一族』(同2年1月発表)、『佐橋甚五郎』(同年4月発表)を収録しています。
『鴎外日記』によると、大正2年4月から『意地』発行に向けて具体的に動き出したようです。当初、『軼事篇』(いつじ/世に知られていない事柄の意)という書名を予定していましたが、編集者に請われて『意地』と改めています(『鴎外日記』大正2年4月9日)。
定価は50銭で、当時はコーヒー1杯が5銭であったことを考えると、決して安い金額ではないようです。『意地』は初版1,000部を発行したものの、再版はなかったとみられます。
その25年後、岩波書店から『阿部一族 他二篇』の名で、『意地』と同じ作品を収録した文庫が発行されました。解説は鴎外と親交のあった歌人・斎藤茂吉です。
そして『意地』発行から111年後の現在も、岩波文庫『阿部一族 他二篇』は茂吉の解説をそのままに発行を続けており、当館ミュージアムショップでも取り扱っています。本展をきっかけに「鴎外の『意地』のはなし」に関心を持たれたら、是非お手に取ってみてください。