お知らせ
文京区立森鴎外記念館は、10/1開始の以下のイベントに参加しています。
【~10/31】第32回 芸工展2024
谷根千、池之端、上野桜木、日暮里エリアで活躍するアーティストらが、まちなかで一斉に表現の場を設けます。
【~11/30】文京区×QuizKnockクイズラリー
文京区内の25の観光スポットに設置された二次元コードを読んでクイズに挑戦するスタンプラリーで、当館もスポットとなっています(二次元コードは館外掲示板に設置)。
【~11/30】東京文化財ウィーク2024
都内全域の文化財の公開や、様々な企画事業が開催されます。当館は「森鴎外遺跡」として都の文化財に指定されており、期間中は解説カードを配布します。
この機会に是非お出かけください。
現在開催中のコレクション展「鴎外の『意地』のはなし」では、鴎外が歴史小説を執筆するきっかけとなった出来事から、『興津弥五右衛門の遺書』『阿部一族』『佐橋甚五郎』の発表、そしてこの三作品を収録した初めての歴史小説集『意地』発行までを時系列で展覧し、現代に至るまでどのように読み継がれてきたかを紹介しています。
会場の第2展示室を入るとまず、右側の壁に6枚の文章が貼ってあります。『意地』収録の三作品から、登場人物の「意地」が描かれた場面、物語が動き出す場面、情景が目に浮かぶような場面を引用しています。
反対側の壁には三作品のあらすじをまとめたパネルや、鴎外と同時代から現代までの文学者が語る作品の魅力をまとめたスライドショーを上映しています。
本展は『興津弥五右衛門の遺書』『阿部一族』『佐橋甚五郎』を読んだことがなくてもお楽しみいただけます。これらのパネルやスライドショーをヒントに、自由に展示室をめぐってみてください。
コレクション展「鴎外の『意地』のはなし」は10月6日(日)までの開催です。
9月24日(火)、25日(水)は全館休館です。
9月26日(木)より通常開館いたします。
コレクション展「鴎外の『意地』のはなし―歴史小説『阿部一族』を中心に」は10月6日までの開催です。お見逃しなく!
本号の巻頭コラムでは、東海大学教授の大木志門氏に文京区と金沢三文豪についてご執筆いただきました。
館報は館内で配布中のほか、こちらでもご覧いただけます。
葉書「石黒忠悳筆 鴎外宛」
大正元年10月2日(下左)、大正2年6月22日(下右)
差出人の石黒忠悳(ただのり)は近代軍医制度の成立に関わった陸軍軍医で、鴎外の上司にあたる人物です(この時は既に退官)。
1枚目は鴎外にとって初めての歴史小説『興津弥五右衛門の遺書』発表時に送られた葉書で、『興津弥五右衛門の遺書』を発表した雑誌の名を尋ねる内容です。大正元年10月、現在も刊行が続く総合雑誌「中央公論」に掲載されました。
2枚目は初めての歴史小説集『意地』発行時に送られた葉書です。出版社(籾山書店)から『意地』(大正2年6月)を送られた石黒が、既に『阿部一族』『興津弥五右衛門の遺書』を読み終え、夕刻から『佐橋甚五郎』を読むのを楽しみにしていると綴っています。
石黒は、鴎外の歴史小説執筆に深く関わっている乃木希典と親しい間柄でした。乃木は殉死に際して、複数の遺書をのこしていますが、その中の一通は石黒に宛てたものでした。陸軍草創期から共に歩んできた乃木の死を、石黒も重く受け止めたことでしょう
石黒は乃木と興津弥五右衛門を重ね合わせ、評論家・横山健堂に語っています(横山健堂『大将乃木』)。そして、鴎外の『興津弥五右衛門の遺書』について「鴎外の文才に驚けり」と感想を述べました。