特別展 鴎外の見た風景~東京方眼図を歩く~
*ギャラリートークの開催
4月24日、5月8日、5月22日、6月12日(いずれも水曜日)
各回14時から(30分程度)、当館学芸員が展示解説を行います。
お申込みは不要です。特別展観覧券をお求めの上、展示室へお集まりください。
いま私たちが使っている地図、縦線と横線からなる方眼で構成された地図の作成を明治期に企画したのは、森鴎外でした。当時の日本ではまだ目新しかったこの試みは、1909年(明治42)年、森林太郎立案「東京方眼図」として発行されました。なぜ鴎外が「東京方眼図」を立案したのかは未だわかっていません。しかし、その作成には留学先のドイツで方眼の地図を使用した経験や、江戸の古地図を収集するほど地図が好きだったこと、毎日の散歩で街を歩いた体験が生かされています。
「東京方眼図」は、鴎外の作品の中にも登場します。1910(明治43)年に発表された小説『青年』では、主人公・小泉純一が「東京方眼図」を使って東京を歩きます。作品の中に駅や劇場など、当時の様子が克明に描かれています。
鴎外が、日本各地へ出発する人々を見送りに行った新橋駅や上野駅。家族と出かけた上野の博物館や動物園。鴎外の翻訳劇が上演された有楽座や新富座。鴎外が買い物を楽しんだ三越や資生堂。鴎外が訪れ、作品に登場させた鉄道や博物館、劇場などは近代化する東京の象徴ともいえます。
今回の展示では、「東京方眼図」が刊行された明治末の東京を、鴎外の日記から探り、当時の写真や文物で紹介します。当時の人々の生活や鴎外も見ていた風景とともに、「東京方眼図」の時代を歩いてみませんか。